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親への仕送りは税控除の対象?

税金
2024.02.07

子供が独立し、扶養控除を外れる年代になると、教育費・住宅ローンの負担が軽くなる一方で、遠くに暮らす親のことが気になる、という方も多いかと思います。
今回は、「親への仕送りは税控除の対象」になるのかどうかをテーマにします。

具体的には、一人暮らしする母親の生活が年金と貯金の取り崩しだけでは苦しいため、長男が月数万円を仕送りすることを検討しました。母親を扶養にすると税負担が軽くなる可能性があるのでしょうか?

まずは、扶養とは一般的に自分の収入などで生計を立てられない家族や親族に経済的な支援をすることです。支援する人(扶養者)の配偶者や子どもの他兄弟姉妹、父母などが対象(被扶養者)になります。
このうち、配偶者以外を対象とする「扶養親族」という区分が税法上あり、一定の条件で扶養親族と認められると扶養者は税控除を受けることができます。

親を扶養親族にするには、次の条件を満たす必要があります。
① 子供と生計を一にしていること
生計を一にするとは、子どもの収入や貯蓄などで親の生活を支えている状態を指します。別居の親に仕送りする場合も該当します。

② 親の年間合計所得金額48万円以下
年金のほかに、就労・不動産・株式運用などで収入があれば、それぞれの所得を合算する必要があります。仮に、親が65歳以上で収入が年金だけなら年収158万円以下が所得48万円以下に該当します。

③ 親を扶養に入れることができるのは、一人だけ。
例えば、兄弟二人で一人の親に生活費を援助しているケースでは、兄弟それぞれが親の扶養控除を利用することは認められない。つまり、どちらか一方だけになります。

扶養親族の要件を満たした場合、具体的に控除額はいくらになるのでしょうか?
これは、親の年齢や同居か別居かによって変わります。
親が70歳未満ならば、同居・別居を問わず所得税38万円、住民税で33万円
70歳以上で別居していれば、それぞれ48万円38万円
同居なら58万円45万円と増え、税負担は軽減されます。
同居か別居かは住民票の内容ではなく、毎年12月31日時点の実態で判断されます。

扶養控除によりどの程度の税負担が軽減されるのか?
仮に年間課税所得500万円の子どもが、71歳の母親と同居しているケースを見てみましょう。子どもの税率は所得税20%、住民税10%とします。
税負担軽減額は、所得税は控除額58万円に20%を乗じた11.6万円、住民税では45万円に10%を乗じた4.5万円になり、合計で16.1万円を軽減できる計算になります。所得が多く、税率が大きい人ほど税負担軽減額は大きくなります。

勤務する会社の年末調整に間に合わなかったり、手続きを忘れていた場合は原則として5年以内に還付申告をすれば、納めすぎていた税金が還付されます。

年金だけでは暮らしていけない高齢者をどうサポートできるか、というのは社会の課題です。仮に、親のために、子どもが仕送りをして負担する、これも自助努力というのであれば、税負担軽減につながる、こうした制度を周知する策を講じてもよいのではないでしょうか?税務署などが教えてくれることは原則としてありません。

こうした相談に応じるファイナンシャル・プランナーがいるインシュアランス・コミュニティの各店舗・営業所へお問い合わせください。