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生保の「標準利率ゼロ」による影響

生命保険
2019.12.10

標準利率とは、生保商品の運用利回りの算定基準となるもので、金融庁が計算式を決めています。具体的には、10年物国債と20年物国際の市場金利に連動しています。
既に、一時払い養老保険の標準利率はゼロでしたが、一時払い終身保険の標準利率についても、2020年1月から現行の0.25%からゼロになります。

一時払い終身保険とは、契約時に約束した利回り(予定利率)で運用し、契約から一定期間経過して解約すれば、払い込んだ保険料を上回る解約返戻金を受け取ることができる商品で、保険料は契約時に一括して払い込みます。従って、運用商品としての人気が高いのですが、死亡時に受け取る保険金についても、法定相続人1人当り500万円の相続税の非課税枠があることから、節税を目的とした利用も一般的です。

仮に、標準利率がゼロになった時に一定の利回りで運用することを契約者に約束すると保険会社の利益は圧迫されますので、保険会社は一時払い終身保険の販売休止や運用利回りを下げて保険料を上げるといった対応を検討することになります。

円建てはリスクが少なく、業界推計によると銀行窓口で年間6千億円、営業職員経由で1千億円の市場規模がありますので、これに代わる商品として、各社は外貨建ての商品に注力しています。しかし、外貨建てとなると、為替リスクが伴いますし、商品設計も複雑になります。

現に、外貨建て保険を巡るトラブルは増加傾向にあり、銀行の窓口販売での18年度の苦情件数は前年度から約3割増えてます。特に、為替リスクの説明不十分、高齢の契約者の親族からの苦情申し出が多くなっています。
従って、購入に際しては、商品内容とそのリスクを十分に理解することが前提ですが、親族と一緒に説明を受けるなど、契約時の慎重な対応が求められます。

既に一時払い保険を契約している人は、契約時の運用利回りを確認し、利回りが3%以上だった場合は一般的に「お宝保険」と呼ばれますが、新しい商品を考えるのではなく、契約の維持を考えた方が良いでしょう。標準利率ゼロ時代の商品選びは難しくなりますが、為替リスクを負ってでも高い利率を得たいのか、シンプルな保障を得たいのか、まずはご自身のスタンスを整理してみましょう。

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