政府は会社員が給与をスマートフォンなどのキャッシュレス決済サービスで受け取る「給与デジタル払い」を解禁する旨、公表しました。
Q:給与デジタル払いとは何ですか?
A:給料日になると銀行口座ではなく、スマートフォンのキャッシュレス決済サービスの残高が増えるイメージです。そのまま日常の買い物に使える様になります。
労働基準法で給与などの賃金は「通貨で直接、全額を支払う」と定められています。原則は現金払いで、銀行口座への振り込みは例外として認められています。この例外にキャッシュレス決済サービスを加える検討が進んでいます。
Q:給与デジタル払いはいつ頃始まるの?
A:当初、政府は2021年春にも解禁する方針でしたが、詳細が固まっていない為、「2021年度のできるだけ早期に制度化」を目指している状況です。
Q:給与デジタル払いは、どんなメリットがあるの?
A:ATMへ行く回数を減らせます。スマホ決済アプリで受け取れば、そのまま買い物に使えます。また同じキャッシュレス決済サービスを使っていれば、送金機能がある為、親への仕送りや、子供へのお小遣いなど個人的なやりとりも現金やATMを使わずに完結できます。
Q:現金とスマホ決済の両方で受け取れますか?
A:銀行口座とキャッシュレス決済サービスの併用は可能です。25万円の給料のうち、20万円を銀行口座に、5万円をキャッシュレス決済サービスに振り込むイメージです。
Q:全く現金がないと心配です。
A:給与デジタル払いが認められた後でも、強制的に入金先が銀行からスマホ決済に変わることはありません。給与支払いの例外が認められるのは、「労働者の同意を得た場合」に限られます。また一旦スマホ決済に入った給与を、後から現金で出金できる仕組みも設けられる見通しです。
Q:どのキャッシュレス決済サービスが対象になりますか?
A:「資金移動業」の登録をした上で、今後定められる新基準を満たす事業者が対象となる見通しです。「Paypay(ペイペイ)」などのスマホ決済事業者の多くは、資金移動業の登録を済ませています。こうした事業者は、もう1段階上の規制をクリアする必要があります。
Q:電子マネーでも受け取れるの?
A:プリペイド型の電子マネーは「前払式支払手段発行者」という別の登録のみの事業者が運営してる場合があります。その事業者は今回の規制の対象外です。
Q:決済業者が倒産したら、どうなるの?
A:資金移動業者の破綻時には、業者が事前に納めた「供託金」を使い、利用者への支払いに充てる仕組みが既にあります。ただし、実際の支払いに時間がかかるケースもある為、新制度を検討中です。今のところ保証会社や保険会社を活用する案が有力です。