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年金のお得な受け取り方法

税金
2024.09.17

企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)は、受け取り方法によって手取り額に差が出ます。どの様に受け取ると一番得なのでしょうか?

原則として、65歳から受給が始まる国民年金・厚生年金などの公的年金に加えて、会社員の方は企業年金をもらえる場合があります。受給額があらかじめ決まっている確定給付年金(DB)の他、加入者自身が運用方法を決めて運用結果により受給額が変わる確定拠出年金(DC)があり、DBのみやDCのみの企業、両制度を採用している企業、企業年金がない企業などに分かれます。

企業年金がある企業では、年金資産の一部又は全部を退職時に退職金(一時金)として一括で受け取れる事も多いです。
個人事業主など会社員以外も加入できるイデコは、受給資格が生じる60歳以降に一括受給、年金受給、一括と年金の組み合わせの3種類から、加入者自身で受け取り方法が選択できます。

受け取り額の差が発生する大きな要因は、一時金と年金の税制上の扱いの違いです。企業年金やイデコを退職時に一時金として受け取ると「退職所得」になり「退職所得控除」という税優遇の制度があります。年金で受け取ると公的年金と同じ「雑所得」になり「公的年金等控除」の対象となります。

可能な限り一時金で受け取って「退職所得控除」をフルに使い、その後に受け取る公的年金と企業年金やイデコを「公的年金等控除」の範囲内に収める方法が有利になるケースが多いです。

一時金の税額計算は、まず受給額から「退職所得控除」を差し引きます。「退職所得控除」は勤続年数が長いほど大きくなり、勤続20年までは40万円✕勤続年数、20年を超える分は70万円✕年数が加算されます。勤続38年で退職すると「退職所得控除」は2060万円になります。受け取り額がこの金額以下なら、所得税や住民税はかかりません。

仮に退職所得控除を超える場合でも、超えた分に2分の1を掛け退職所得の金額とし、給与所得などの所得とは別に「分離課税」される為、税金が安くなります。

一方、年金で受け取る場合は、年齢、年金額、所得額に応じて決まる「公的年金等控除」が適用されますが、控除額はそれほど大きくありません。例えば65歳以上で受け取る年金額が年330万円以下、年金以外の所得が1000万円以下の場合、公的年金等控除は110万円です。控除額を超えた分は他の所得と合算して、「総合課税」の対象となる為、年金以外の所得が多い人ほど税金が多くなります。

社外保険料についても違いがあります。一時金で受け取ると、健康保険や介護保険などの社会保険はかからない一方、年金で受け取ると、年金以外の給与所得がない場合は、年金額に応じて社会保険料の負担が生じます。

実際にどの程度の差が出るのでしょうか?
例:東京都在住。扶養家族は妻一人の勤続38年男性。企業年金DB2000万円。
60~64歳まで年収350万円で就労し65歳から公的年金を年220万円受給。
年金の運用利回りは年2%。

60歳定年後10年間の収入総額は、
【一時金】額面4850万円-税・社会保険料455万円=手取り額4395万円
【年 金】額面5060万円-税・社会保険料795万円=手取り額4265万円

一時金で受け取る方が、4395万円ー4265万円=130万円多くなります。
一般的に一時金の方が手取り額が多くなりますが、年金は定期的に受け取る事で、まとまって入った額を短期間で使用してしまうのを防ぐメリットもあります。