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相続手続き・効率化進む

NEW マネー
2024.10.21

相続で遺族などが直面する煩雑な手続きの効率化が進んでいます。

これまで、故人に転居などで複数の本籍地がある場合、子供などの相続人は、各地の役場へ出向いたり、郵送で戸籍謄本を請求していました。全ての戸籍を集めるだけで数ヶ月かかる事も少なくありませんでした。

2024年3月から全国の市区町村と法務省をつなぐ「戸籍情報連携システム」が稼働しました。利用者が自分の居住地などの最寄りの役場で申請すると、システムを通じて、故人の出生時、転居時、死亡時の本籍地の役場から戸籍謄本を纏めて入手できます。

申請者は市区町村役場の窓口に出向いて申請する必要があり、戸籍謄本の取得に1通450円かかります。交付までの日数は、ケース・バイ・ケースです。本籍地があった市区町村が少なければ当日交付も可能で、数が多いと1週間程度かかる自治体もあります。

相続手続きを円滑に進める為には、故人がどんな財産をどれだけ保有していたか確認する事も重要です。遺言書を残していればそれに沿って財産を分割できますが、遺言があるケースは少ないです。多くの場合は、相続人が自力で財産を調べた上で、遺産分割協議で誰が、どの財産をどれだけ引き継ぐが決めます。

預貯金は通帳やキャッシュカード、郵便物などを手掛かりに金融機関に口座の有無を問い合わせます。取引があったことを確認できたら、死亡した日の残高証明書を請求します。手間がかかる上、故人の口座のあった金融機関を全てカバーしているかどうかの懸念もあります。

預貯金口座探しの負担軽減に繋がりそうなのが、2024年度末頃に稼働予定のマイナンバーを活用した「預貯金口座管理制度」です。
取引している一つの金融機関で、自身の口座をマインナンバーで管理することを申請し、氏名・住所・生年月日などの本人を特定できる情報も提供します。本人が希望すれば、預金保険機構を通じ、口座のある全ての金融機関でマイナンバーと紐づける事ができます。

口座を紐づけた人が亡くなった場合、相続人が一つの金融機関に照会すると、故人の口座情報が一括で通知されます。但し、紐づけを申請できるのは原則名義人のみの為、生前に手続きする必要があります。

預貯金と並んで相続財産の金額が大きい不動産でも、物件を一括して照会できる「所有不動産記録証明制度」が2026年2月から開始予定です。
法務省が登記簿の名義人単位に全国の所有不動産をリスト化し、名義人が所有する土地や建物の種類、所在地、面積などの情報を一覧できる様になります。名義人の他に相続人などが情報を請求できます。

生命保険では生命保険協会が提供する「生命保険契約照会制度」があります。協会が生保各社に契約の有無について調査を依頼し、結果を纏めて回答します。
上場株式や上場投資信託などの口座は証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報」に開示請求すれば、どの証券会社にあるか分かります。非上場の投信などは対象外です。

また2024年4月から、相続登記が義務化されています。不動産を引き継いだ相続人は、故人から自分に不動産の名義を変更する必要があります。
2024年4月以降に発生した相続は故人の死亡から3年以内、4月より前の相続は2027年3月末までに登記をする必要があります。いずれも正当な理由がなく登記を怠ると、10万円以下の過料が科されます。

名義変更の手続きは、故人の戸籍謄本の他、遺言書がない場合は遺産分割協議書など必要書類を添付し法務局へ申請します。遺産分割協議に時間がかかるなど期限に間に合わなければ、「相続人申告登記制度」を利用します。相続人の住所や氏名などを申し出れば、期限が過ぎても過料の対象にはなりません。